✔一番最初に思い浮かぶ「物盗られ妄想」
アルツハイマー型認知症と聞いて、まず浮かぶことの一つに「物盗られ妄想」があると思います。
盗られていないものを誰かが盗ったという。
明らかに様子が違うとわかる症状の一つです。
私の母も、アルツハイマー型認知症と診断されてから、すぐにこの症状が現れました。
ご多分に漏れず、「財布がないけど、お姉ちゃん盗ったんじゃないの?」。
お姉ちゃん、とは私のことです。昔からそう呼ばれていました。
ただ、私の母は盗ったのが私ではないはず、と強く思ってくれていたのか、
「私がどっかにやったんだと思うけど…」と付け加えてくれていました。
✔私流ポイント6選 ~信頼と実績の長女ですが、なにか?~
私が今となっては有効だったと思うことをお伝えします。
ただし、私流なので正しくはありませんし、合わない人もいると思います。
事例の一つ、気楽に「へ~」とお考え下さい。
てきとう、そうそれは座右の銘。
それでは、どうぞ。
盗ったのは私じゃないよ、と「言う」。
多分、何回も聞かれるので、毎回言って下さい。
自分はあなたの味方、と伝えます。
本人は言われたことを一瞬しか覚えていられないので、毎回「言い」ます。
ずっと「言い」ます。
あんまりにも言葉に心を込めないと怒ってくるので、疲れていてもちょっと込めましょう。
「本人が探している範囲」を崩さない。
おそらく、部屋はくちゃくちゃだと思います。
ジーパン刑事並みの「なんじゃこりゃ~っ」が現実として心に響き渡ります。
ジーパン刑事を突然思い出した、そんな自分にびっくりします。
一刻も早く探し当ててこの場を去りたい。
昼寝がしたい。
でも、焦るな私。
まず、一緒に探す時は、本人が探している範囲だけに留めてください。
加えて、本人の範囲内でも、ほじくり返すのはやめた方がいいです。
「そこに隠したんじゃないの?!」となります。
「私の知らないところにこの人が隠した」となります。
どうしても、今の状態を崩したかったり、他の場所を探したかったりしたら、
本人が後ろを向いている時や寝てからなどにしてください。
そして、できるだけ物をもとの場所に戻してください。
出てこない=解決しないとなりますが、
こちらのペースで範囲を広げたり慌てて探したりすると、更なる大混乱を招きます。
お気づきでしょうか。
そう!本人の前ではほぼ何もできません。
見た部屋の光景、最近の行動、しまっていそうな場所。
心の中で見当をつけながら、できるだけこっそり行動します。
探していると、探している物以外で処分したいものがたくさん出てくると思います。
だって、物があふれているから探しにくいんですもの。
だけど、今捨ててはいけません。
今は、今探している物だけに集中です。
処分は本人がいない時にしてください。
処分した後で、突然思い出したように処分した物が「ないんだけど」と言ってきたら、
しまう場所を変えた、など、大丈夫安心してと伝えてください。
こちらが「要らねぇ!」と思っても、相手にとっては大切かもしれない。
確かに、断捨離は自分でしておいて欲しかったけどさ!
散らばった物たちは、認知症の人の記憶の破片。
だから優しい嘘をついてあげてください。
秘かに素早くわからないように動いて、時に嘘をつく。
まるでスパイです。
私はスパイ。
ミッションは常にインポッシブル。
そらしネタで気を紛らせる。
見つからない時は、お茶やお菓子を出したり、散歩に誘ったりして気をそらします。
おいしい饅頭があるから食べよう、とか、孫が来るからそこまで迎えに行こう、とか。
警察を呼ぶ、と譲らないなら、警察に事情を言って相談してもいいと思います。
私はしました。最寄りの警察署には本当に助けてもらいました。
パニックな人の気をそらすのは超激ムズカシイです。
断言します。
何をしてもたぶん、気はそれません。
そんなら無駄なことさせんじゃないよ、とお思いでしょうか、
探し物はすぐ出てこないことが多いので、長時間対策として
そらしネタはやっぱり必要です。
ほおっておけば、あのかたたちは一晩中探します。
ワタシタチニハ、スイミンガヒツヨウデス。
一発KOは無理でも、パンチを打ち続けて効かせる感じ。
結局、私も母が疲れてくるまで見守るか、先に寝るの繰り返しでした。
上手くいかなくても、繰り返し気をそらす。
果ては寝てもらう。
今の時代なら、YouTubeや動画配信がたくさんあるので、
本人の好きな歌手や俳優さんの映像、子供や赤ちゃんや動物の映像を見せる。
そういう手もあると思います。
怒りがきたら即退避。
これは鉄則中の鉄則です。
万が一、怒りに任せて手を挙げてしまって、打ちどころでも悪かったら、
あなたは犯罪者になってしまいます。
タイヒ、タイヒー。
外に出て風を浴びて頭を冷やしてください。
自分を守ることは、必ず相手を守ります。
見つかった!は本人の専売特許。
やったぜ!
でも、ここでも一辛抱。
見つかった時は是非とも本人に見つけさせてあげてください。
これは、よく言われていることですね。
自分が見つけてもちょっと隠して、「その辺は?」などと上手に誘導します。
あんまり大げさにすると、逆に疑ってきますので、さりげなく。
すんごい喜ぶと思います。
またないヨ!期間限定!と自分に言おう。
苦労して見つけても、数時間後、翌日にはなくなります。
まじか…、の繰り返しです。
八時だよ!と昔ド〇フターズが叫んでいたように、
「またないヨ!期間限定!」と心で叫びましょう。
コント場面展開の音楽とともに、また探すターンがやって来ます。
何回も何回もなくなることが日常、と頭に入れてください。
物がなくなる、これは症状が進んでいく一つの過程です。
たぶん、非常に強い訴えは1~2年程度でなくなっていきます。
つまり、期間限定です。
見守る姿勢をどこかに持ってみてください。
これは最後のお付き合い、と思ってください。
ちょっと付き合ってあげるか、と一瞬でも思えたら儲けものです
頑張れ、頑張るな、ファイト!!